第22回 問題24 事例問題

問題24
Aさん(78歳、男性)は、2年前に妻を病気で亡くし、一人暮らしをしていた。その後、Aさんは脳卒中で入院し、右半身に麻痺がある状態で退院するに当たり、要介護2の認定を受けた。
本人の意向では、自宅で暮らし、訪問介護は利用したいが、通所のサービスは利用したくないとのことだった。
その理由は、知り合いに今の姿を見られたくないことに加えて、妻を亡くした悲しみから同年代の夫婦を見るとつらくなるということだった。
その時点における介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。2つ選べ。

 

1.  訪問介護サービス以外のサービスは利用しないことに決める。
2. 自宅ではなく、居住系サービスを利用するよう説得する。
3. 在宅生活を続けるうえでの機能回復の重要性を説明し、訪問リハビリテーションの利用を勧める。
4. 福祉用具や住宅改修を利用し、住環境を改善することを勧める。

5. 近隣住民から高齢者サロンに誘ってもらう。

 

 

 

【解説】

1. 訪問介護サービス以外のサービスは利用しないことに決める。
→✖
Aさんは、「訪問介護は利用したいが、通所のサービスは利用したくないとのこと」という記載があるが、
介護保険サービスは、他にも福祉用具貸与や福祉用具販売、住宅改修などのサービスがある。
介護支援専門員が「訪問介護サービス以外のサービスは利用しないことに決める。」ということは適切ではない。

 

2. 自宅ではなく、居住系サービスを利用するよう説得する。
→✖
居住系サービスとは、特定施設入居者生活介護等であるが、Aさん自身が希望しているわけではない。
また、設問に「説得する」言葉があるが、介護保険の理念である、自己決定の尊重・利用者の主体性の尊重を念頭に置けばこの「説得」は適切とはいえない。

 

3. 在宅生活を続けるうえでの機能回復の重要性を説明し、訪問リハビリテーションの利用を勧める。

Aさんは、右半身に麻痺がある状態で退院するので、設問は介護支援専門員として適切であると言える。

 

4. 福祉用具や住宅改修を利用し、住環境を改善することを勧める。

居宅での生活を継続するにあたり、住環境を改善することを勧めるということは、介護支援専門員として適切である。

 

5. 近隣住民から高齢者サロンに誘ってもらう。
→✖
「知り合いに今の姿を見られたくない」というAさんの気持ちを汲み取ると、近隣住民から高齢者サロンに誘ってもらうということは、適切とはいえない。

 

 

事例問題では、利用者の尊厳を保持することを基本に、利用者本位や自己決定ができているか、選択肢を丁寧に考えていくことが必要です。

 

 

古賀和代
古賀和代

介護支援専門員とはなにか?
基本倫理・理念を理解していたら
事例問題はラッキー問題になると思います。

Point
・自己決定の尊重
・利用者の主体性の尊重
・生活の継続性
・自立支援

                           

【解答】…3・4

中央法規ワークブック2019 P136

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